【アメリカの今】アメリカという国

アメリカの現状を、ポートランドからシェアしていけたらと思っています。

日常生活から感じること

さて初回に書いたことは警察とマイノリティーの関係ですが、それ以外でも。プロバスケットボールのNBAやプロフットボールのNFLなどで活躍する黒人選手が自分の高級外車に乗って運転していたら、「黒人がこんな豪華な車を運転しているなんておかしい」という理不尽な理由で警察官に止められたり、高級住宅地のセキュリティーが、新しく引っ越してきた元NFLの有名黒人選手を不審に思い引っ越してきた初日に警察に連絡をしたり。あのNBAのスーパースターのレブロン・ジェームスでさえも、2017年に家の門の所に黒人を差別する言葉(一般的にいうNワード)を書かれたりもしていました。

日常生活では?

もっと日常的なことを言うと、白人は白人を雇う傾向が強いということです。求人で全く同じ能力の白人、黒人、アジア人がいたとします。採用側の人間が白人の場合、同じ白人を雇う傾向が多く、その次がアジア人、黒人という順序になります。アジア人は物静かで、たとえ不公平があってもほとんどの場合、不平・不満などを言わないから雇いやすいと思われています。そして黒人の場合は、差別や不公平なことに対して、「それっておかしくない?」と意見をすることがあり、そういう声を聞きたくないがために雇わないということもあります。もちろんみんながみんなではありません。不公平に対して声を上げれば、自分の立場が悪くなることも百も承知です。ちなみにここで言う不公平というのは、昇進だったりボーナスだったりの類です。そして人員整理などが必要な場合は、黒人、アジア人、白人という逆の順番で切られる傾向があります。

 

これは国家公務員の例ですが、1年に1度「performance appraisal」という職務評価を直属の上司から受け取ります。いくつかある自分の仕事内容を3段階(Exceptional-優、Fully Successful-良、Unacceptable-不可)で評価されます。そしてこの評価を元にボーナスがもらえたりします。なのである程度の理不尽は、大抵のことは黙っています。たとえそれが自分の上司が二日酔いで出社して、全く使い物にならない日があっても…(笑)。

 

さて、ここで一例を。国家公務員として中途採用された黒人男性のD。彼はアメリカ人でビジネス英語、ビジネス文章もちゃんと書ける人です。ですが、同じフロアーの女性(A)が「あなたの英語は分からないわ」とDに直接言いました。以前から、Aさんの態度が気になっていた同僚もいたのですが、Dは「分かりました。今後はすべてメールにて連絡します」と。それ以降、Dからこの女性に対して電話や直接話しかけることなく、すべてメールにて連絡を取り始めました。言うまでもなく、電話の方が早いし簡単です。ですが特にこういう人とは「言った、言わないの水掛け論」に発展することもあるので記録に残るメールの方が特にアメリカでは安全かつ安心です。

そしてDは、同時にAさんに対する苦情を自分の上司達と人事部に報告。そして人事部がDの同僚や、Aさんと日常的に接することが人達への聞き取り調査がはじまりました。数週間後に人事部はAさんに提示した結論は、「辞める(クビ)か他の部署へ格下げ」というものでした。そしてAさんは他の部署への格下げとなりました。これは国家公務員の職場だったので、ちゃんと人事部が動いてくれたという一例です。

私の実体験

これは珍しいケースという訳ではありません。朝の挨拶をしても、あからさまに無視をする人がいます。最初は「あれ?聞こえなかったのかな?」とか思ったのですが、さすがに2日目・3日目となると、「あぁ、無視されているんだなぁ」と。同僚でもなく、ただ同じビル内の名も知らない人なのですが、嫌われているんだろうなぁと。このような体験は珍しいケースという訳ではなく、体験したことがある人は少なくないと思います。

前回も書きましたが私が住んでいる地域は、76%が白人、1%の黒人、17%のアジア人と言った比率なのでアジア人に慣れている人が多く、日常生活で差別されることはほとんどありません。年に数回、有るか無いかぐらいの頻度です。そして他の州のアジア人差別などと比べると、とても微々たるものだと思います。

 

今まで私が日常生活で経験したことの1つは、スーパーで買い物をしてレジで並んでいる時に、私の前に並んでいたアメリカ人男性には話しかけ、私の番が来たら挨拶すらなく、商品をすべてスキャンした後の合計金額さえも言われず、私と全く関わりを持ちたくなかった様子でした。こちらも、「あぁ、まだこういう人が存在するんだなぁ」というぐらいにしかとらえません。なぜならこの人が理由で、自分の一日を嫌な気分で過ごしたくないからです。こういった経験は、年に1回か2回あるかないかぐらいです。

 

そして今までで一番驚いた体験は数年前の出来事です。近所にあるスーパーWalmartへ一人で行ったときのことです。たまに通路から出てきた人とぶつかりそうになることがありますが、普通ならお互いに「Sorry」とか「Excuse me」など言葉を交わす程度のことなのですが、この日はいきなり白人女性から大声で「Go to hell!」と怒鳴られました。あまりのことにあっけに取られていた私に、周りにいたこれまた白人男性が「気にすることないよ。ああいう人たまにいるから」って私に小声でささやいてくれました。この件に関してはアジア人への差別なのか、この女性が単に変な人なのか分かりませんが…。

ポートランド Trimet 殺傷事件

2017年5月、ポートランドの電車(Trimet)内で、当時35歳の白人男性(白人至上主義者として知られていた人)が2人の黒人少女(当時16歳と17歳で、そのうちの1人は*ヒジャブを着用)にイスラム教徒への差別的暴言を怒鳴り続け、同じ電車に乗っていた3名のこれまた白人男性達(当時21歳、23歳、53歳)が止めに入りました。ですが、犯人はナイフを振りかざし、2人を刺殺、1人(21歳)は重傷を負いました。この生き残った男性は、裁判でも証言台に立ち話題になりました。

このニュースはポートランドのみならず全米でニュースになりました。なぜなら白人至上主義者により、このような人種差別からの殺傷事件が進歩的な都市として知られているポートランドで起こり、またその差別を止めようとした同じく白人の男性3名が被害者となってしまったからです。この事件は地元民からしたらとても心の痛む事件でした。ましてや、自分もたまにですが利用するTrimetで。自分が被害者になっていた可能性もあるからです。 

*ヒジャブとはイスラム教徒の女性が頭や身体を覆う布

心配

いくら自分が他人に迷惑をかけずに普通の生活をしていても、人種差別をする人と道で出会ってしまったらどうすることもできません。人種差別する人が男性で差別される側が女性・子供・高齢者の場合、唯一の希望は周囲にいる人達が助けてくれたらと願うばかりです。アメリカは広大なので場所によって全然違うのですが、私が住んでいる地域は日中であれば犬の散歩をしている人、ジョギングをしている人などいて危険を感じることはまずありません。道路脇の街灯もLEDで夜でも明るい方だと思います。ですが、Youtubeで他の有名な都市を見たりすると、場所によっては昼間でも私は怖くて歩けないなぁと思う場所もあります。薬物中毒の人達が徘徊している通りとかありますし。コロナが原因で治安が格段に悪くなったと言われているアメリカ。これからどうなっていくのでしょうか…。

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