【アメリカの今】アメリカという国

アメリカの現状を、ポートランドからシェアしていけたらと思っています。

George Floyd(ジョージ・フロイド)さん事件の裁判

2020年5月25日、ミネソタ州のミネアポリス近郊で当時警察官だったDerek Chauvin(デレク・ショーヴィン、当時44歳)被告がフロイド氏(当時46歳)の首の部分を膝で9分29秒押さえつけ、フロイド氏は死亡。そしてこの元警官は同年5月29日に逮捕されました。この事件の裁判が3月29日に始まりました。

どんな事件だったのか?

2020年5月25日、お店の店員がフロイド氏が偽札$20紙幣を使用した可能性があるということで、警察へ連絡。そして4名の警察官が現場に出動。警察官が身に着けているボディカメラの映像、近所の防犯カメラの映像、そして周囲にいた人達がスマホで録画した映像などを元に、フロイド氏の窒息死はこのChauvin被告が原因とし、は第三級殺人罪で逮捕されました。4名の警官はこの事件の翌日に解雇されました。映像を見るとフロイド氏は強く抵抗した様子もなく、膝で首を抑える行為はやり過ぎだと批判されました。なお、警察官は毎年色々な訓練を受ける必要があるのですが、このChauvin被告も「窒息の危険性についての訓練」を受けており、知識があったうえでの行為としてその後より重罪である第2級殺人と判断されました

殺人罪の違い

アメリカ50州、殺人罪について細かく違いがありますが、ここでは多くの州が採用している一般的な定義を書いていきたいと思います。 

第一級殺人

自分の意志で、前もって計画したうえで犯行に及んだ場合。つまり、今日ケンカなどをしてその相手を明日殺す計画を立て、それを実行した場合など。

第二級殺人

第一級殺人から計画性を引いたものが第二級となります。前もって殺す計画はなかったけど、殺してしまった場合など。

第三級殺人

第一級でも、第二級でもない殺人を第三級としている州が3つほどあります。この第三級殺人を適用しているのは、フロリダ州、ミネソタ州、ペンシルバニア州のみです。

Chauvin被告の脱税容疑

2018年、Chauvin被告は結婚し、フロイド氏の事件で逮捕される前日(2020年5月28日)に離婚を申請しました。2020年7月22日、ミネソタ州ワシントン群からこの2人は別々に複数の脱税容疑をかけられました。ちなみにこの2人は共同収入を過少報告したからです。そしてその申告漏れの額は、なんと約4600万円($464,433、1ドル=百円計算)。

裁判開始

この裁判は1ヵ月ぐらいかかるだろうと言われています。12人の陪審員は匿名で、テレビで放送されている裁判の様子でも映されることはありません。そしてこの裁判の様子は、毎日テレビで見ることができます。この12人の陪審員は黒人男性3人、黒人女性1人、白人男性2人、白人女性4名、multiracial(多民族)の女性2人という構成です。

ミネソタ州では第2級殺人だと最高40年の禁固刑です。そして最近、第三級殺人としても起訴しました。第三級ですと最高25年の禁固刑です。ちなみにこの被告は無罪を主張しています。そして被告の弁護士はフロイド氏は薬物の過剰摂取が原因で死亡したと主張。

hung juryとは…

アメリカの陪審員制度では、有罪または無罪の評決には全員一致が必要。それが無理な場合hung jury(評決不能)となり、再度新たな陪審員を集め裁判をやり直さなければならなくなります。hung juryとなった場合、検察側が要求すれば何度でも裁判のやり直しができますが、通常は多くても2回ぐらいになります。なぜなら裁判には多額の税金が使われるからです。そしてhung juryとなった場合、検察側が起訴を取り下げるか、求刑を軽くするなどして、落としどころをみつけます。

今後どうなる?

もしこの裁判の判決が無罪となった場合、全米各地で暴動が起こるでしょう。なぜならこれは明らかに警察官による殺人だと考えている人が多いからです。ですがアメリカでは、警察官による殺人の場合、無罪になるケースが多いのが事実です。ですが、ここ数年この傾向もほんの少しづつですが変わりつつあります。しかし有罪になったとしても、量刑が軽めなことが多いです。さて、どのようは判決が出されるのでしょうか…。

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はじめまして

こんにちは。このブログではアメリカのニュースを分かりやすく説明していきたいと思います。実際にアメリカに住んでみて、初めて知った事や感じた事などを週に1度ぐらいのペースでシェアしていけたらと思っています。

 

みなさんは、アメリカに対してどんな印象をお持ちでしょうか?ハリウッド映画や旅行で行ったことのあるハワイやニューヨーク、ラスベガスにサンフランシスコなどと言った観光地での思い出などがある方もいらっしゃると思います。私もアメリカで生活する前は、友達とハワイに一度行ったことがあるだけですが、アメリカでの生活は日本とさほど変わらないだろうと考えていました。もちろん、言葉の違いや医療費が高いなどの一般的な知識はありましたが…。そして実際にアメリカに住み始め15年以上になりますが、アメリカに来る前と、アメリカに来てからの最初の数年、そして今現在、色々な体験をし学ぶことがありました。もちろんこれらは、現地に住んでいるからこそ感じることだと思います。

オレゴン州ってどんなところ?

さて、まず最初に私が住んでいる西海岸のオレゴン州ポートランドについてご説明を。オレゴン州はBlue State (つまり民主党支持)ですが、実はオレゴン州全体からみると共和党支持している地域の方が断然多いです。オレゴン州には36のカウンティ(群)がありますが、そのうち10のカウンティがBlue(民主党支持)で、残りの26カウンティがRed(共和党支持)です。

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オレゴン州の州都であるSalem(セイラム)があるMarion County(マリオン群)やPortlandがあるMultnomah County(マルトノマ郡)、そしてPortland周辺にあるClackamas County(クラカマス郡)やWashington County(ワシントン群)など住民の数が多い群はBlue(民主党支持)もしくは、Blueになりがちです。

 

人が多く住んでいる場所、つまり仕事があったり、大学があったり、国際空港があったりすることが多いです。こういう場所は人の出入りが多く、外国人も多く住んでいたり、違いを受け入れることができる人が多い印象があります。こういうBlueな地域はリベラルです。リベラルとは、「個性を重んじる、個人の自由、自由主義」という意味です。

 

その反対がRed(共和党支持)です。農業地域や人口が少ない地域がメインです。アメリカ全土で言うと中西部や南部が多いです。そして一般的には白人で保守的で敬虔なクリスチャンの人が多いと言われています。共和党支持者でも幅が広く、クリスチャンでLGBTQや堕胎に反対なので共和党という人もいれば、ただ単に白人至上主義的な考えを持っていて白人以外は受け入れないという人もいます。この点については、後で書いていきたいと思います。

 

私がオレゴン州に住み始めたころ、州内の色々な所に長距離ドライブに行きました。その時道に迷ったことがあり、その付近にいらっしゃった70歳代の白人男性に道を尋ねました。今でも鮮明に覚えているのですが、その方はとても親切にしていただいたのですが、最後に「be careful around here(この付近は気を付けてね)」と言われ肩をポンと叩かれました。言われた時は私はピンとこなかったのですが、一緒にいたアメリカ人はすぐに察していました。今考えてみると、そこは地図上で見ると赤い地域。そしてオレゴン州にもKKK(クー・クラックス・クラン、白人至上主義団体)が存在していた歴史的背景があります。

マジョリティ(多数派)とマイノリティ(少数派)

それでは、今アメリカで起きていることを書いていきたいと思います。今現在、白人がマジョリティ(多数派)でBlack、Brown、アジア人などがマイノリティー(少数派)です。ですが、毎年マイノリティーの数が増えてきて、2045年には比率が逆転して白人がマイノリティーになると言われています。さて、ここで質問です。多数派だった白人が少数派になった場合、何が起こるでしょうか?

 

もちろん本当に何が起こるかは分かりませんが、白人が恐れていることがいくつかあります。そのうちの1つが、長年やってきた不公平に対するリベンジ(仕返し) が来るんじゃないかという不安です。

 

日本でもニュースで知っている方もいらっしゃると思いますが、白人警察官により殺させる黒人の数が多いということ。Black Lives Matterというムーブメントも有名になりましたね。もちろん、白人、黒人、アジア人、ヒスパニックなど人種に関係なく悪い人は存在します。問題になっているのは、警察の対応が人種によって異なるということです。同じような事件がおきた時、犯人が黒人やヒスパニックの場合、警官によって殺害されることが多いですが、犯人が白人の場合、撃たれずに逮捕されることが多いです。

白人の場合

これは一例ですが、2015年6月サウスキャロライナ州で当時21歳だった白人が黒人が集まる教会に行き突然銃を乱射し、黒人9人を殺害。その後、車で約400㎞離れた所で警察に逮捕されました。そして、警察署までの移動の間、お腹が空いたと警察官に言い、なんとその警察官がファストフードのBurger Kingへ寄り食べ物を買い与えたというニュースがありました。

 

2019年7月、テネシー州で全裸の白人男性(33歳)が4人の警察官を追いかけ、そのうちの1人の警察官の頭部を殴りました。そして、身柄を拘束後、違う警官に唾を吐きかけましたが、彼は普通に逮捕されました。

黒人の場合

では、こちらはフロリダ州の黒人の例を。2019年の8月、当時21歳だった黒人男性が陪審員制度の陪審員に選ばれました。そして翌日の朝9時に再度来るように言われました。ところがこの男性は翌日、寝坊をしてしまい起床したのが朝10時。行かなかった裁判のことは少し気になりましたが、夕方から仕事だったので時間になってから仕事へ行きました。そして彼は仕事中、もしかしたら裁判所から電話がかかってくるかもなぁ。もしかしたら罰金でも払わないとダメなのかな程度の考えでした。数週間後、突然警察官が家に現れました。そして9月に裁判官がこの男性に対し、刑務所に10日間、150時間の地域奉仕、1年間の保護観察、そして$223の罰金を課せました。それに加え、謝罪の声明文まで書かされました。

 

また2020年9月、ニューヨークで当時41歳だった黒人男性が精神不安定になり、家族が警察に電話をして助けを求めました。全裸で武器も持っていない状態だったのですが、警察は男性に手錠をかけ路上に座らせ、頭部に袋をかぶせられ顔を2分間地面に押し付けられた後に窒息死しました。たとえ当時、コロナが大流行していた背景があったとしても、人の頭部に袋をかぶせたらどうなるかぐらい大人なら分かるはずです。

jaywalkingについて

またアメリカでは横断歩道ではない所で道を横切ったり、歩行者用の信号が赤なのに車が来ていないから渡ることをjaywalkingと言います。私が住んでいる所の目の前に2車線の道路があるのですが、交通量がそれほど多い道路ではないので、多くの人がjaywalkingをしています。ですが警察官に切符を切られているのを見たことがありません。ちなみに私が住んでいる地域は、76%が白人、1%の黒人、17%のアジア人と言った比率です。

 

ですが、2019年に行われたニューヨーク市警の調査結果によれば、jaywalkingで切符を切られた市民のうち90%がヒスパニック系もしくは黒人だったという結果が出ています。またバージニア州のアーリントン市では、黒人の割合が10%ちょっとにも関わらず、警察官に止められたことがある歩行者の65%が黒人だったという調査結果もあります。これらを見ても、警察官がマイノリティー、主に黒人をターゲットにしているのが分かります。

ポイント!アメリカ旅行の際は、jaywalkingの切符を切られないように気を付けましょう。

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